世界中の路地裏を徘徊してきた迷走客として、これまで数々の修羅場をくぐり抜けてきましたが、最も油断できず心臓が縮み上がる危険といえば、異国の街頭に潜む神業のような「プロのスリ集団」です。
古くから「財を露わにするな」と言われますが、これは現代の個人旅行においても絶対の生存原則です。見知らぬ土地で分厚い札束を一つのブランド財布にまとめて詰め込んでいるなら、スリにとっては歩くたびに金貨を落とすカモ同然です。
旅を心から楽しむため、私は長年にわたる放浪の中で独自の「旅行資金分散法」を確立しました。出発前に全予算を強制的に「3.5等分」に分散させる手法です。
この4つの原則さえ押さえておけば、万が一スリの被害に遭ったとしても、路頭に迷う最悪の事態は防げます!
第1の取り分:狡兎三窟のメイン「財庫」(全体の約80%)
これは旅路全体の生命線であり、絶対に一つの籠に盛ってはなりません!
予算の約8割を占めるこの資金をさらに容赦なく分割し、「複数エリアへの隠匿」を徹底します。
半分は肌身離さず身につける超薄型セキュリティポーチや衣服の内側に縫い付けた隠しポケットへ。もう半分はリスが木の実を隠すように、大型バックパックの奥深いインナーポケットや洗濯物の丸めた靴下の中に忍ばせます。こうすれば、万が一バッグを刃物で切り裂かれたり貴重品入れを紛失したりしても、失うのはライフポイントのごく一部で済みます。
第2の取り分:中規模出費のための「活動財布」(全体の約15%)
総予算の約15%を充てるこの部分は、中規模な決済のためのメイン資金です。
新しい都市に到着して購入する長距離鉄道パスや、今夜は少し奮発してご馳走を食べようという時に使います。過剰に隠す必要はなく、普段使い慣れた財布のファスナー付き内ポケットに入れておけば、会計時にもたつくことなくスマートに支払えます。
第3の取り分:目くらましのための「小銭・ポケットマネー」(現地で数百円相当)
これこそがスリ対策の最重要の要です!現地のカフェでコーヒー1杯や軽食が買える程度の小額(数百円〜数ドル程度)を常にキープします。
この小銭や小額紙幣は、取り出しやすい上着のポケットやズボンの前ポケットに直接入れておきます。ミネラルウォーターの購入、絵葉書、有料トイレの利用、チップなど、日中の細々とした支払いはすべてこれで済ませます。
最大の目的は、ペットボトルの水を買うためだけに、人通りの多い路上で「札束の詰まった本財布を頻繁に取り出す」愚を避けることです。隙を見せないことが最高の防犯です。
最後の0.5の取り分:絶体絶命の「サバイバル資金」
金額としてはごくわずかですが、最悪の窮地に陥った時の最後の切り札となります。
「何が起きても絶対に肌身離さず持ち歩く私物」の隙間に、中額紙幣(50ドルや50ユーロ札など1枚)を密かに忍ばせておきます。すべての荷物と財布を失ったとしても、国際電話を一本かけたり、緊急避難のタクシーに乗るための資金を確保するためです。
ただし、隠し場所を凝りすぎて赤っ恥をかいたこともあります。
ある時、この救命紙幣をスマートフォンと保護ケースの隙間に綺麗に折りたたんで挟み込みました。「完璧な隠し場所だ」と悦に入っていたのですが、現地の空港に到着してSIMカードを購入した際、売店の店員さんが手際よくスマホケースを外した瞬間、折りたたんだ紙幣が目の前でヒラヒラと舞い落ちたのです……一瞬でネタが割れ、店員さんと苦笑いする羽目になりました。
思いがけない旅のボーナス
資金をここまで緻密に分類して隠しておくと、防犯効果だけでなく、私自身が大いに気に入っている副産物があります。
それは、隠した場所が巧妙すぎて、旅が終わる頃には自分自身ですらバックパックのどの異次元ポケットにお金を隠したのかすっかり忘れてしまうことです!
数年後、気まぐれに古いバックパックや旅用ジャケットを整理しているとき、隠しポケットの奥から見覚えのないクシャクシャの外貨紙幣がひょっこり出てきた時の喜びたるや……思わず夢に出てくるほどの臨時収入です!(もっとも、この話を旅仲間にすると容赦ない蹴りが飛んできますが。)
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